【移転】隠れ家のような飲み屋のカツカレーを食べてきました。三原カレーコーナー
銀座の昼下がりに、僕は「絶滅食堂」とでも呼ぶべき店に足を踏み入れた。三原カレーコーナー。名前だけ聞けば、まるで場末の立ち食いカレー屋のようだが、実際にはごく普通の居酒屋だ。だがこの店は2013年3月をもって消えてしまう。だから僕は記念のような気持ちでやってきたのだ。
カツカレーを頼む。皿にのせられたそれは、どこか懐かしい色をしている。派手でもなく、洗練されてもいない。けれど、子供の頃から脈々と続く「カレーライス」という文化の奥行きを、静かに語りかけてくるような味がした。
外に出ると、銀座の街は相変わらず変わり続けていた。ビルは高くなり、歩道は広がり、古い店は消えてゆく。その中で、ひとつの食堂の終わりを見届けることは、僕にとって自分の時間の流れを確かめることでもある。
そして僕は、腹の底に温もりを抱えながら歩き出す。絶滅は静かにやってきて、そして僕たちはそれを受け入れるしかないのだ。


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