関西風お好み焼きの店であえて広島お好み焼き 川崎 若竹でお好み焼き
川崎で広島風のお好み焼きを探すのは、ちょっとした徒労に似ている。
ぼくは何軒か歩き回ってみたけれど、結局そこにあるのは大阪風の店ばかりだった。広島風を出すと書かれている店を見つけたとき、ぼくは少しだけ胸の奥が温かくなるのを感じた。もしかしたら、と思ったのだ。
店に入って注文すると「お時間いただきます」と言われた。もちろんだ。大阪風は自分で焼くが、広島のは厨房で積み上げられて焼かれていく。その手間を知っているぼくにとって、その言葉は当たり前のものだった。
しばらく待って出てきた皿の上には、見慣れたようでどこか違う「広島焼き」があった。ヘラを入れてみる。キャベツが少ない。代わりにもやしが多い。そして分厚い卵が全体を覆い、まるでオムソバのようにぼくの舌を占領していく。広島お好み焼きを食べているという感覚は薄く、気づけば半分ほどで箸を置いてしまった。残すことに、ほんの少し罪悪感を覚えながら。
川崎で広島お好み焼きを食べることは、結局のところ叶わないのかもしれない。そんな諦めのような思いが、帰り道の街灯の下でぼくの背中に寄り添っていた。
若竹 川崎モアーズ店 (お好み焼き / 京急川崎駅、川崎駅)
昼総合点★☆☆☆☆ 1.0

コメント
コメントを投稿