【閉店】レバニラが食べたくて。百鶴源でレバニラ定食
レバニラというのは、ある種の心の穴を埋める料理なのかもしれない。別にセンチメンタルな話じゃない。もっとこう、生活に密着した、身体の内側が何かを求めているような、そんな感覚だ。
僕の中には周期的に訪れる「食べたいものリスト」みたいなものがあって、それは蕎麦だったり、うどんだったり、ラーメンだったり、時にはインドカレーだったりするのだけれど、レバニラも確かにその一角を占めている。周期は不規則で、天候にも気分にも大して左右されない。ただ、ある日突然「レバニラだな」と思う。今日はまさにその日だった。
近所の町中華に向かう。いつもは唐揚げや回鍋肉を頼んでいる店だ。レバニラは未体験ゾーン。少しだけ冒険してみることにした。
席に着いて、失敗に気づく。テレビが見えない位置だった。まぁいいか、どうせ昼の番組なんてタレントが誰と不倫したとか、そんな話ばかりだし。
ほどなくして、僕のレバニラが到着する。見た目からして少しとろみがある、ウェットなタイプだ。個人的にはもっとサラッとしたやつが好みなんだけど、食べてみると、うまい。レバーには一切の臭みがない。ニラはシャキシャキで、もやしが食感に奥行きを加えている。白いごはんとの相性は言うまでもなく抜群で、気がつけば夢中でかきこんでいた。
家でこのシャキシャキ感は出せない。火力の問題なのか、鍋の材質の問題なのか、それとも中華鍋を振る店主の手首の秘密なのかは分からない。とにかく、これはここでしか食べられない味だ。
ごちそうさま、と心の中で呟いて席を立つ。たぶんまた数ヶ月後に、何かの拍子で思い出して、ふらりと訪れるんだと思う。そのときもきっと、今日と同じようにうまいレバニラが出てくるのだろう。

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