【閉店】家系ラーメンに縮れ麺は珍しい。八丁畷の龍平家
在宅勤務がすっかり日常になってしまったので、ふと近所のラーメン屋を少しずつ開拓してみようと思った。街にお金を落とすことが、いま自分にできる小さな貢献かもしれないと、そんな風に思ったのだ。
で、以前からその存在は知っていたけれど、営業しているのかしていないのか、今ひとつはっきりしなかった「龍平家」というラーメン屋に行ってみた。運よく今日は開いていた。曇り空の下で、暖簾が静かに揺れていた。
券売機でデフォルトのラーメンを選び、カウンター席に腰を下ろす。厨房は意外に奥行きがあって、よく見えない。たぶん店でスープを炊いているのだと思う。空間の隅に微かに豚骨の香りが漂っていた。
少し待つと、例の「すんごく高いカウンター」からラーメンの丼が差し出された。手を伸ばす。これは、酔っていたら確実に落としてしまう高さだ。
ラーメンは、見た目がなかなか良かった。スープの表面に白胡麻が浮かび、どことなく「大黒家」系の面影がある。メニューにはネギラーメンが赤・青・白と三色揃っていて、そのあたりも大黒家譲りかもしれない。
スープは濃厚すぎず、豚骨臭もわずかに残っていて、塩分濃度もちょうどよかった。なるほど、これはなかなか美味しい。
でも、麺が……どうもいけない。
軽くウェーブがかかっていて、スープをよく持ち上げるのだけれど、噛むと「くにゃくにゃ」していて、食感がどうにも好きになれなかった。例えるなら、子供のころに遊んだゴムの蛇のような、あの頼りなさだ。麺そのものがあまり美味しくないのだ。
チャーシューは、むしろ良かった。やや厚めで、脂の入り方もちょうどいい。普通以上には美味しかった。でも、肝心の麺が足を引っ張ってしまった。
残念だけど、再訪はないかな、と静かに思った。やっぱり家系ラーメンには、あのストレートで太い麺がマストなんだよ、僕にとっては。
ラーメンって、ひとつ歯車が狂うと、全部が台無しになることがある。人生も、まぁ、たいていそんなものだけれど。


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