日高屋でおやつの中華そば

川崎での用事を終えたら、時計の針が妙な時間を指していた。昼でも夜でもない。小腹は空いてるが、がっつり食べるほどでもない。そういう時に、日高屋のネオンがやけに優しく見えることがある。中華そば、いっとこうか――最近テレビでもよく見かけるし、妙に脳裏に刷り込まれていたのだ。

店に入ると、午後の陽が傾きかけた時間なのに、店内は妙にざわついている。見ると、酔っぱらいのおっちゃんたちが数名、テーブルを囲んで昭和をぶちまけていた。川崎の午後、愛と哀しみと焼酎の街。そんなことをぼんやり考えていると、厨房の向こうから湯気とともに中華そばがやって来た。

レンゲでスープをすくう。うん、魚介の香りがふわりと鼻腔をくすぐる。角の取れた醤油が舌を優しく撫でる。熱い。とにかくアッツアッツだ。この温度設定がいい。思考を遮断し、ただスープに集中させるには十分だ。麺は何の変哲もない中細ストレート。しかし、この「何の変哲もなさ」が、実にこのスープには合っている。まるで、10代の恋愛のようなストレートさ。

ラーメンではない。これは、確かに「中華そば」なのだ。エンタメでもなく、アートでもなく、生活の中にただ在る、あの味。日高屋が標榜する「うますぎない味」――それが、今このときの僕にはちょうど良かった。

気がつけば器は空になっていた。完食。ため息と一緒に胃の奥からじんわりと温かさが広がっていく。次は昼間に来て、チャーハンをつけてみよう。そう思いながら、川崎の午後にまた一歩を踏み出す

日高屋 川崎銀柳街店ラーメン / 川崎駅京急川崎駅八丁畷駅
昼総合点★★☆☆☆ 2.5

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