【閉店】勝浦タンタンメンチックな麻辣担々麺を珍珍珍で
昼飯は、遠くへ行くほどの気力もなくて、近場で済まそうと思った。そんなときにふと頭に浮かんだのが、あの店――珍珍珍だった。名前だけ見ると三回繰り返すのはちょっとやりすぎな気もするけど、まあそれはそれで記憶に残るということなんだろう。
今日はいつもの定番じゃなくて、ちょっと冒険してみようと思った。人生には時々そういう気分の波がある。そこで「麻辣担々麺」をオーダーすることにした。たしか今まで頼んだことはなかったと思う。人間というのは案外、未踏の領域に対して慎重だったりする。
時間を少しずらして行ったので、店のカウンターはガラガラだった。ひとつおきに座っている人たちが、黙々と麺と向き合っている。その姿が妙に静かで、まるで夏の図書館のようだった。担々麺にはご飯が合う――という信念は僕の中でかなり根強く残っているので、迷わずサービスのご飯をもらってきた。もっとも、今はもうサービスではなくて有料になってしまったのだけれど、それでも「ご飯は必要だ」という感覚には抗えなかった。
しばらくして、僕の担々麺が到着した。なるほど、こういうルックスなのか。ラー油がたっぷり浮いていて、その上にごまがぱらぱらと散らしてある。ぱっと見たところ、どこか勝浦タンタンメンを思わせるビジュアルだ。
まずはスープを一口。うん、やっぱりそうだ。醤油ベースのスープにラー油がしっかり浮かんでいて、そのままストレートに喉を通っていく。ごまのプチプチした感じがアクセントになっていて、ちょっと面白い。麺はいつもの細いやつで、ラー油でほんのり赤く染まっている。ズズッとすすると、じんわりと辛さが舌に残る。うん、これは美味い。というか、なんで今まで頼まなかったんだろうと思うくらい、僕の好みにフィットしていた。
ご飯も勢いよくかき込みながら、あっという間に完食してしまった。そういう食事の終わり方って、ちょっとした幸福感がある。満ち足りて、静かで、少しだけ心が柔らかくなる感じ。
たぶん、また来ると思う。いや、きっと来るだろう。そして、たぶんまた麻辣担々麺を頼むんじゃないかと思う。人間って、そうやって小さな発見を日常に積み重ねていくものだから。

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