【閉店】鶴見市場 らーめん碧で塩とんこつラーメン
近所にできたばかりのラーメン屋、「らーめん蒼」。
数日前に醤油とんこつを試してみて、まぁ悪くなかったので、今日は塩とんこつにしてみようと、昼を少し過ぎた13時頃に店を訪れた。
店内は閑散としていた。
いや、閑散というより、むしろ「空虚」と言った方がいい。カウンター席が整然と並び、厨房からは湯気と金属音だけが淡々と流れてくる。客の気配はない。ラーメン屋というのは、ある種の熱量が必要だ。空いているのは嫌いじゃないけど、それでも「ここ、大丈夫かな」と思ってしまう瞬間がある。
券売機で塩とんこつの食券を買い、店主に手渡す。無言で受け取られ、無言で席を指される。
そして、数分後、静かにラーメンが着丼した。
淡く乳白色のスープに、浅葱と刻みネギがそっと浮かび、チャーシューが一枚、慎ましく横たわっている。
レンゲを手に取り、一口啜る。
塩とんこつという名前から想像するよりも、ぐっと深いコクがある。豚骨の骨髄感と塩のキレのバランスが悪くない。
麺はおそらく醤油と同じものだろう。中細ストレート。可もなく不可もなく、つまり“平均的な安定感”というやつ。
チャーシューはホロホロと崩れていく柔らかさで、これは好きだなと思う。
でも、それだけだった。
醤油にはあったニンニクもないし、野菜の存在感も乏しい。浅葱とネギ、それだけでは風景としては寂しい。ラーメンにも「画角」が必要なのだ。
結局、塩は優等生すぎた。
欠点はないが、記憶に残るような突出もない。たぶん明日の昼にはこの味を忘れてしまう。
あらためて、ここの「推し」はやはり醤油だと確信した。香ばしさとパンチ、そのバランスにこそ、この店の“個性”が宿っているのかもしれない。
次は、まぜそばを試してみようと思う。
たぶん、そこにはまた別の表情がある。少なくとも、そう願っている。そうでもしないと、この店が心に居場所を作る前に、僕のなかで消えてしまいそうだから。

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