てんやで天丼
ああ、天ぷらというのは、なんというか、油と衣と具材とが三位一体となって、口の中で「ジュワッ」と小さく祝祭をあげる料理であります。
さて、今日は川崎でさっさと用事を済ませてしまい、時間がポコンと空いた。こんなとき人間は決まって「何か食うか」となる。昼メシをどこにしようか銀柳街をふらふら歩くと、あ、てんやが目に入った。あの黄色と黒のあの看板を見ると、「あー天ぷら、食いたい」と脳が即座に判断を下すのだから不思議であります。
少し値段が上がっているようだが、まぁいい。今日は休みだ。ビールも一緒に発注してしまおう。天丼とビール。なんて素敵な組み合わせ。少し待って着丼。
やぁ、いつも通りに天ぷらがサクッとしていて美味い。さすがてんや。たとえ機械的でもこの価格でこのクオリティはあなどれない。
ところがでありますよ。問題はここからです。白身魚の天ぷら、ボクの期待ではいつも通り「キス」か「ハゼ」のはずだった。なのに今日のそれは——イワシだ!おお、イワシ。
イワシというと、なんだか「青魚」の代名詞で、どちらかというと塩焼きで骨ごとバリバリやる印象。これがまさか天ぷらに紛れ込んでくるとは!
いや、これはキミ、天丼における「紅生姜」的サプライズと言えるかもしれません。「白身魚」と書かれていたからこそ、ボクの口は完全にキスの準備をしていた。ところがイワシが現れて、ボクの味覚神経は一瞬バグった。
まぁ、最近の魚事情やらなんやらで、仕入れも難しいのだろう。理解はする。するが!せめて「本日はイワシです」と一言ほしかった。そうすればボクは間違いなく「キス単品」を追加していたのに。
とはいえ、この値段で天丼が食べられて、しかもビールまで飲めて、おまけにイワシという思わぬゲスト出演まであったのだから、これはこれで「てんや劇場」なのであります。
……しかし、腹がいっぱいだ。天ぷらとビールは人をこう、ズンと重たくさせる。まるで昼下がりに襲いかかる布団のような存在感。
さて帰って昼寝でもするか。それが休日の正しい過ごし方であります。
天丼てんや 川崎アゼリア店 (天丼 / 京急川崎駅、川崎駅)
昼総合点★★☆☆☆ 2.5

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