とんかつを求めて鶴見をさまよう。かつ庵にてとんかつ。

今日は朝からとんかつの気分だった。

理由は特にない。ただ身体のどこかに「衣をまとった豚肉を高温の油で揚げたものを摂取しろ」という命令があった。そういう時は逆らわない。逆らってもロクなことがないのだ。

そういえば、鶴見駅の近くにとんかつが美味しいと評判の店があったのを思い出した。

某グルメサイトでもやたら点数が高かった。点数なんてものは、信用してはいけないと知りつつも、つい参考にしてしまうのが人間の弱さだ。

気まぐれにバスには乗らず、徒歩を選んだ。

このところの運動不足もあったし、腹をすかせるにはちょうどいい。だが現実は残酷だった。

8月の太陽が無慈悲に照りつける中、汗を滲ませながら2キロを歩き、お目当ての店の前にたどり着くと、そこには冷たい文字の羅列——「本日臨時休業」。

まるで、女にすっぽかされた時のような喪失感が全身を駆け抜けた。

このとき、ボクの中の何かが折れた。

もう後戻りはできない。口は完全に「とんかつ待機モード」だ。

仕方なく、その近くにあったチェーン店の「かつ庵」に滑り込んだ。

店内は妙に空いていて、空調が過剰に効いていた。冷気と共に、嫌な予感が忍び寄る。

注文はもちろんとんかつ定食。

しばらくして届いたソレは、見た目はそこそこ美しかった。

が、ナイフを入れた瞬間、わずかな違和感が指先に伝わる。

そして口に入れた瞬間、確信に変わった——これは、硬い。

いや、ただの硬さじゃない。繊維質の壁が顎に挑戦状を叩きつけてくるレベルの硬さだ。

味?そんなものはどうでもよかった。噛むことで精一杯だった。

孤独な戦いだった。とんかつを相手に、ボクは何度も敗北した。

顎が痛む。心も少し痛む。

記憶をたどれば、以前来たときはそれなりに美味しかった気がする。

だが今日のソレは、完全に裏切りだった。チェーン店のブレ幅を呪う。

きっと、もう来ないだろう。

そう呟きながら、ボクは店を出た。

熱風がまたボクを包み込む。夏はまだ終わらない

ごはん処 かつ庵 鶴見中央店とんかつ / 京急鶴見駅鶴見駅
昼総合点☆☆☆☆ 1.0

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