【閉店】虎ノ門 中華 三陽でレバニラ炒め
7月11日。今日は「ラーメンの日」だそうである。数字の「7」と「11」をレンゲと麺に見立てたという、極めて語呂頼みの記念日である。そんな日に「じゃあラーメン食べなきゃ」なんて思うのが人情というものだが、なぜかボクの口はラーメンに背を向け、「米、米が食べたい」と駄々をこねるのである。
そんなわけで、虎ノ門の中華三陽へ足が向かった。
まだ時計は12時を回っていないというのに、店内はなかなかの盛況ぶり。サラリーマンたちはみんな大人しく炒飯セットやラーメンセットに身を委ねている。あれか、日替わりランチを頼んでおけば波風も立たないし、財布にも優しい。
しかしボクだけは違う。周囲の空気を読まず、あえての単品攻め。「レバニラ定食、一丁!」と店員さんに告げるこの背徳感。悪いことをしているわけではないのだが、ほんの少しだけ後ろめたさがある。こういうの、ちょっと楽しい。
待っている間、ふと思い出すのは新橋の三陽のこと。どうやらこの虎ノ門三陽は新橋三陽と親戚筋らしいのだが、あちらは残念ながら数年前にお昼営業をやめてしまった。昔はあそこで炒飯だの餃子だのを食べたものだったのに。人生というのは、気づくといろんな店が「昔あったなぁ」になってしまうのだ。
などと感傷にひたっていると、来ましたよボクのレバニラ。
おお〜これは見るからに「正統派」のレバニラである。レバーは黒光りしてぷっくりと膨らみ、ニラはまっすぐキリリとしている。そこにシャキッとしたモヤシ、そして……おや、きくらげ?
きくらげ入りレバニラ。これは珍しい。ちょっとしたサプライズである。
では、いただきます。
一口。うむ、うまい。レバーにまったく臭みがない。サラッとした油加減で、くどくもなく、淡白すぎもしない。王道のレバニラながら、きくらげのコリッとした食感がときどき顔を出して「どうも〜」と挨拶してくる。そうそう、これこれ。これが食べたかったのだ。
レバニラを噛みしめ、シャクシャクとした歯ごたえを口中で転がしたら、いざ白ご飯。ガバッと口に入れてムシャムシャと噛む。この瞬間の幸福感ときたら、どんな記念日も霞んでしまう。
あっという間に平らげた。米を欲していたボクの身体が「満足した」と静かにうなずいている。ラーメンの日? いやいや、今日は「レバニラと白ご飯の日」だったのだ。
ごちそうさま。また来ます。今度は炒飯も気になるなぁ。

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