虎ノ門 ビックラーメンにて餃子
おうおうおう、というわけで、ハングリータイガーの行列を尻目に、ビックラーメンへと舵を切ったわけだ。行列というのは人類の最古の儀式であり、最後の希望でもある。だがボクは並ばない。決して。並ぶことは、敗北である。というわけでラーメン屋に逃げ込む。いや、今日はラーメンではない。餃子、餃子、餃子である。
ビックラーメンはカスタマイズ可能な店だ。餃子の個数、ご飯の量、つまり、炭水化物と油分のパラメーターを自らいじれる、いわば食のベーシックインカムである。ボクは迷わず、ご飯を減らし、餃子を増やした。なぜならボクの胃袋はすでに餃子に向けて前傾姿勢を取っていたからだ。
先払いで会計を済ませると、店内はほぼ満員。ギリギリ空いたカウンターにねじ込まれる。ねじ込む、というのは戦いである。人類が原始の時代から行ってきた「空間の奪取」である。そして、ボクの戦いの報酬、餃子ライスが到着。
おお、来た。ニンニクの匂いが鼻腔を直接マッサージしてくる。これはまさに“攻撃的な旨さ”だ。皮はパリッ、中はシャクシャク。細かすぎない野菜の食感がしっかりと主張していて、舌と歯と胃袋が一体となって歓喜している。ちなみにボクは“飲める系餃子”があまり好きではない。飲むのはビールだけでいいのだ。
タレは酢とコショウ? ノンノン、そんな気取ったもんは使わない。醤油と酢のダブルパンチで、白飯の上にワンバウンド。これを口に放り込んだとき、ボクは完全に宇宙と一体化した。餃子とは、哲学である。
中国では餃子が主食なのでご飯と一緒には食べないらしい。だがボクは思う。これは文化の違いではない。進化の方向性の違いなのだ。我々日本人は、白飯と餃子の融合という“二項対立の超越”を果たした。ビール? それは夜の部だ。昼は白飯でいくのがルール。異論は認めない。
一気に完食。隣の席の男が食べていた炒飯もまた、実にそそるヴィジュアルをしていた。次回はあれにしよう。そういえばこの店でラーメンを食べたことがない。ラーメン屋でラーメンを食べない。これこそが究極の反骨であり、愛でもある。
ごちそうさまでした。また来ます。必ず。
ビックラーメン 虎ノ門店 (ラーメン / 虎ノ門駅、虎ノ門ヒルズ駅、内幸町駅)
昼総合点★★☆☆☆ 2.5

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