つけ麺 玉の3rdブランド「玉 バラそば屋」で味噌バラそばを食べてみた

うむ、やってしまった……!というべきか、やられてしまった……!というべきか。とにもかくにも、またしても川崎の地下迷宮アゼリアに吸い込まれてしまったのである。しかも午前11時前という、どの飲食店もまだ寝ぼけ眼の時間帯。人影もまばらな通路を、まるでダンジョン探索のごとく歩き回るボク。無意味に端から端まで歩き、己の足音だけを友として折り返す。

と、11時を回った。世界がパカッと目を覚ました。シャッターが上がり、厨房に火が入り、人類に食欲という欲望が与えられる魔の時間――開店、である。

さてどこに突撃するか。選択肢は複数ある。かつて喰らい、記憶に刻まれたラーメンたち。しかし今日は違う。冒険だ。新規開拓。選んだのは「玉バラそば屋」なる異名の持ち主。おそらくは、つけ麺界で川崎を侵略しつつある「玉」勢の三男坊。次男坊は赤備であるとボクは睨んでいる。

店の入口には、例のごとく券売機が鎮座ましましており、その左上に「味噌バラそば」と書かれたボタンがピカリと輝いていた。左上というのはつまり、その店の推しということ。つまりその店の「本命」なのである。ボクは逆らわない。運命に。ボタンに。ピッと押す。すると運命はボクをカウンター席へと誘った。

時計はまだ11時なのに店内はなかなかの人口密度。川崎市民の胃袋は、やはり並々ならぬラーメン欲によって形成されているようだ。そんなことを考えていると、ボクの味噌バラそばが着丼した。

――な、なんだこれは……!

山である。山、いや丘ぐらいか。とにかく野菜がテンコ盛りなのである。ネギ、もやし、さらにネギ。その下に見えるのは、果たして麺か沼か。それすらも分からぬほどである。

とにかく掘る。麺を探し、すすり出す。お、これは……うむ、うまい。麺箱には「浅草開化楼」の文字。なんだか凄そうだ。知らんけど。

そしてスープ。これもまた美味。味噌に生姜が効いていて、ちょっと北国のラーメン感ある。北海道か。ボクは行ったことないけど。

チャーシューはバラ肉仕様。脂が多そうに見えて、それほど重くない。味の深みはあるのに胃袋への攻撃力はそれほどでもない。これは戦える。と思っていたのだが――。

もやし、減らない。

どんなに食べても、減った気がしない。

一口ごとに「山」がまた一口分、補充されてる気がする。まさか自動再生型のラーメンか? AIか? 未来か?

後半、ボクの脳は食事という名の戦いに疲弊してきていた。味噌の味に飽きた。もやしに埋もれて、ボクは己のラーメン嗜好というやつを再確認する羽目になった。

――あ、やっぱ味噌ラーメン、そんなに好きじゃないんだった。

というわけで次回は醤油味にしようと思う。

川崎の冒険はまだまだ続くのだ。

玉 バラそば屋 川崎アゼリア店ラーメン / 川崎駅京急川崎駅
昼総合点★★☆☆☆ 2.5

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