【閉店】蘭州牛肉麵で澄んだ牛骨スープと手打ち麺を満喫。八丁畷 山海亭で牛肉麵

蘭州牛肉麺――なんだかこう、ぐわっと背中を押されるような名前だ。中国の大地をまっすぐ突っ走る貨物列車のような響きがある。最近じゃ神田あたりにも専門店ができて、ちょっとしたブームの匂いがする。だが、ブームが来ようが去ろうが、腹が減ったら麺が食いたくなるのが人間だ。

そんな折、うちの近所にもいつのまにか蘭州牛肉麺の専門店がオープンしていた。気づけば一年も経っていたのだが、行けていなかった。今日はもう行くしかない、とジャージにTシャツで飛び出した。

店に入ると、客はゼロ。ありゃりゃ、大丈夫かココ。だが、厨房の奥から出てきた女将さん――どう見ても本場の人――の笑顔に迎えられ、ちょっとホッとする。牛肉麺(ぎゅうろうめん)を細麺で発注すると、目の前でいきなり麺を打ち始めた。えっ、今から?と思ったが、リズムよくバンバン伸ばしていくその姿が妙にカッコいい。打ったそばから釜へ投入。そしてしばしの待機。

どんぶりが着丼すると、あたりに漂う五香粉っぽいスパイシーな香り。うーむ、異国情緒が鼻から脳天を突き抜ける。スープをひと口すすれば、牛骨の澄んだ旨味がじんわり広がっていく。そこに自家製ラー油のビリッとした辛さがピシリと背筋を伸ばす。こりゃあ、たまらん。

麺は断面が丸くて、モチモチを通り越してモニュモニュしている。まるで腹をすかせた少年が作った雪玉のような素朴さと弾力がある。チャーシューは見た目よりずっと淡泊で、ホロホロと崩れる。ああ、こいつは優等生だ。

聞けば麺は平打ちや三角もできるらしい。次はそいつを頼んでみよう。女将さんも実に感じがよくて、「おいしかったです」と言ったら、ちょっと照れくさそうに「ありがとございます」と日本語で返してくれた。

蘭州の風、ここに吹いていた。うむ、また来よう。

山海亭ラーメン / 八丁畷駅川崎新町駅鶴見市場駅
昼総合点★★☆☆☆ 2.5

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