横着してUber Eatsで世界の山ちゃんの手羽先をお取り寄せ

しばらく外食を控えていた。健康のためとか節約のためとか、そんな高尚な理由じゃない。単にダラダラしていただけである。ところが、ある日の夕方、カミさんが言うのだ。

「ねぇ、世界の山ちゃん、久しぶりに食べたくない?」

こういうとき、男はたいてい「いや、今日はいいかな」などと一度は言ってみるものだが、今回は即答で「いいね!」だった。なんせ山ちゃんである。手羽先である。例の黒胡椒でピリッとした、あのクセになるやつである。

というわけで、さっそくUberEatsを立ち上げて、手羽先3人前と台湾焼きそばを発注。しめて2300円。ウーバーのプロモーションが効いててこの値段。ほぼお店価格。お得である。…と同時に「店で食べる意味とは?」という哲学的問いも頭をよぎるが、すぐに忘れた。

配達指定を18時にしていたら、17時50分に「ピックアップ完了」の通知が届く。こういう時の10分は、子供の頃のクリスマス前夜くらい長く感じる。じりじりと待っていたら、ピンポン。18時ジャスト。お見事。まるでドラマのカットインのようなタイミングである。

受け取った袋はほんのり温かく、いや、これはほんのりどころかアツアツだ。いいぞ配達員さん。アツアツは正義である。というわけで、いざ実食。

「うめぇ〜〜!」

思わず声が漏れた。やっぱり山ちゃんの手羽先は別格だ。

衣はパリッとしてて、中の肉がふんわり。しっかり味が染みてるのに、くどくない。そして例のコショウが後を引く。気づけば無言で骨を並べている自分がいる。人は美味い手羽先の前では饒舌にならないのである。

そして台湾焼きそば。これがまた少し辛くて、モチモチの麺に濃いめのタレが絡んで、いやこれも、うまい。写真を撮ろうと思っていたが、気がつけば皿が空になっていた。そういうもんである。

二人でペロリと完食。配達員さんには敬意を込めて100円のチップを渡す。100円でこのアツアツが買えるなら安いものだ。

飲み屋というのは、酒を出してナンボの商売だ。コロナでアルコールが制限されると、その分だけ苦しくなる。でも、あえて言いたい。頑張ってほしい。なぜなら手羽先には夢があるからだ。台湾焼きそばには浪漫があるからだ。そして、いつかまた居酒屋に人があふれる日が来る。そう信じている。

その時はきっと、カウンターでビールを頼んで、最初の一杯を飲み干してこう言うのだ。

「やっぱ、生だねぇ…」

世界の山ちゃん 川崎仲見世店居酒屋 / 京急川崎駅川崎駅八丁畷駅
テイクアウト総合点-

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