おうちごはん 鹿児島ラーメン 小金太

 日曜の昼下がり、ぼくはキッチンの電気ケトルに水を満たしながら、ふと「今日はラーメンにしよう」と思った。別に特別な理由はない。ただ、ラーメンという響きがこの日曜日の午後の空気に、しっくりきたというだけのことだ。

棚の中には、鹿児島からやってきたラーメン小金太が眠っていた。有楽町のかごしま遊楽館で買ったやつだ。

ついでに、そのとき一緒に買った焼豚も冷蔵庫から取り出しておいた。こういうのはタイミングが大事なんだ。焼豚は、思い出のように、唐突に、そして滑らかに現れるべきだ。

湯を沸かし、麺をほぐし、スープを溶く。簡単な工程だけれど、ぼくはそこに一種の儀式めいたものを感じる。静かな室内に、麺が茹でられる音だけがやけに響いていた。

出来上がったラーメンを器に盛り、焼豚をそっと乗せる。その上に、ほんの気持ち程度の刻みネギを散らした。こうしてぼくのラーメンは完成した。あっけないけれど、十分だった。

一口目のスープ。豚骨の匂いは控えめで、脂もどぎつくない。飲みやすい。けれど、軽すぎるわけじゃない。出汁の旨味がしっかりとそこにあった。なんというか、こう…ちゃんと根っこのある味だった。少し甘いのは、鹿児島の醤油だろう。九州の陽気さが、スープの隙間からじんわりとにじみ出してくる。

麺はパツンとした細麺で、九州ラーメンの誇りのような歯ごたえがある。焼豚はやはり甘めの味付けで、スープとの相性もよかった。気がつけばぼくは、いつのまにか完食していた。

窓の外は少しだけ明るくなっていた。あー鹿児島、行きたいな。桜島の見えるあの港町で、海を眺めながら、もう一杯ラーメンをすするのも悪くない。そんなふうにぼくは思った。根拠なんてない。ただ、そう思っただけだ。

かごしま遊楽館その他 / 日比谷駅有楽町駅銀座駅
テイクアウト総合点-

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