銀座 泰明庵 で せりかしわ蕎麦

今日は朝から曇天で、風がビルの谷間をすり抜けて頬っぺたを斬るようだった。こういう日は、身体の芯からあったまりたくなる。ならば蕎麦だ。しかもアツアツのやつ。そう決めて、泰明庵へふらふらと吸い寄せられるように向かった。

この店は古くからある老舗で、ちょっと渋めのサラリーマンや、昼間っから日本酒をちびちびやってる妙齢のオジサンなんかがいて、いい具合に場末感があって落ち着くのだ。さて今日は…セリあるかな…あった!「せりかしわ蕎麦ください、根っこ入りで!」と、勢いよく注文。ここのセリは根っこまで入れてくれるという粋な一杯なのだ。

ちょうどワンターン目の客が掃けたところらしく、店内は一瞬ざわついたあと、また新しい客がどやどやと入ってきた。相変わらずの人気っぷりで、ちょいと時間はかかったが、そこは承知の上。むしろ待ってる間に身体の冷えもじんわり抜けてくる。

ほどなくして、湯気もうもうの丼が到着。


おお、セリがこれでもかとシャッキシャキだ。山菜というより、ほとんど野性。いい香りが鼻をくすぐる。根っこもたっぷり沈んでいて、これぞ冬の贅沢ってやつだ。かしわもプリッとしてて、ツユに旨味と脂をほんのり滲ませてくれる。

蕎麦はまぁ、可もなく不可もなく。ただ、熱々のツユとセリの香りで全体が一つにまとまって、これはこれでじんわりと沁みる味わい。ずずーっと啜って、ハフハフしながら一気に平らげた。

うん、うまかった。やっぱりセリは冬の味だな。根っこまで食えるのはここくらいのもんだ。また来よう、セリの季節が終わる前に。ごちそうさまでした、身体ぽかぽかだぜ。

泰明庵そば(蕎麦) / 銀座駅日比谷駅有楽町駅
昼総合点★★☆☆☆ 2.5

コメント