【閉店】鶴見 タージマハルでインドカレー

近所にあるラーメン屋に新規開拓のつもりで向かったのだけれど、予想外に混んでいた。なんだか、あのぎゅうぎゅう詰めの空間に入っていくのはちょっと気が進まなかった。ああいうとき、自分のなかにある「小さな孤独」が顔を出す。だから方向転換することにした。たまにはそういう日があってもいい。

ランニングのルートにしている道沿いには、実のところけっこうたくさんの飲食店がある。でも不思議と、どこにも入ったことがなかった。たぶん汗をかいて走っているときって、食べ物のことなんか考えていないからだろう。今日はそのうちのひとつ、インド料理の「タージマハル」という店に入ってみることにした。タージマハルという名前には、どこかこう、やや誇張された郷愁みたいなものを感じる。世界遺産が近所にあるなんて面白い。

階段をのぼって二階に上がると、店内は適度に客が入っていて、安心した。僕はテレビの目の前の席を選び、メニューをめくった。マトンカレーと、ほうれん草とマッシュルームのカレー。今日はどうやら二種類のカレーを同時に抱えたい気分だった。理由は分からない。たぶんそういうときもある。

料理が来るまでのあいだ、僕はぼんやりと店内を眺めた。座席はゆったりしていて、窓からいい風が入ってくる。壁の装飾が少しばかりキッチュで、どこかニューデリーの片隅のような、そうでないような感覚を呼び起こす。目を閉じると、スパイスの香りが微かに鼻孔をくすぐった。

やがてカレーが運ばれてきた。

僕はまず、ほうれん草のカレーから手をつけた。やわらかくて、マイルドで、スプーンの上で静かに溶けていく。次にマトンカレー。こっちは歯ごたえがしっかりしていて、少しばかりワイルドだった。でも臭みはなく、適度な辛さが舌を刺激した。僕はナンとライスを交互に使い分けながら、静かにカレーを味わった。ナンはふかふかで、どこか無邪気な味がした。

最後にラッシーを飲み干すと、僕の中の何かが少しだけ落ち着いた。たぶん、ちょっとした達成感のようなものだったのかもしれない。僕は窓から風に吹かれながら、今度は夜に来てみようと心に決めた。カレーのあいだに挟まれたビールというのも、きっと悪くない。

タージマハルインド料理 / 浅野駅安善駅弁天橋駅
昼総合点★★☆☆☆ 2.5

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