キャンプの前に忍野の渡辺うどんで吉田うどん
いいかね、うどんというのは時として人の魂を救う食い物になるんだよ。とくに富士山のふもと、西湖なんていうところでキャンプをやるぞなんて浮かれポンチな話になると、腹ごしらえは半ば儀式のようなものになる。今回は東名をえっちらおっちら登っていった。御殿場インターを降りる頃にはすっかり昼。腹もグーグー鳴るってもんだ。
途中で買い出しなんぞを済ませて、地元じゃ評判という「渡辺うどん」ってとこを目指す。店の前に着くと、もうすでにバイクの兄ちゃんやら家族連れがウジャウジャと来てやがる。店に入るとメニューは潔くうどん一択。あとは肉を乗せるか卵か、汁にするかつけにするかってくらい。そっけないテーブルに3人で着席。ボクは控えめに「肉玉うどん小」をチョイス。
しばし待つ。店内には地元の爺さん婆さん、山帰りのハイカー、観光客と入り乱れている。こういう店は大体アタリなんだ。だいぶして、ついに来たぞ、ボクのうどん。
見た瞬間、思わず「太っ!」と声が出た。まるで縄文時代の弓の弦かってくらいの太さ。箸で持ち上げてみると、ズルズルと伸びる長さに笑ってしまう。
すするっていうより、これはもう「齧る」食い物だ。ズシッと小麦が主張してくる。そして弾力が半端ない。グニグニ、バインバインだ。
汁は煮干しがキリッと効いてて、だけど角がなくてじんわりくる旨さ。そこに甘辛く煮付けられた馬肉。これがまた、ほっと一息の箸休めになるって寸法。キャベツがまた地味にうまいのよ。しんなりしていて、口の中で甘みが広がる。やるな、渡辺。
お連れの一人はつけ麺の大盛りにしたが、どうやら撃沈。ちょっと麺を分けてもらって、つけ汁にも手を出す。卵を途中でといて、もう一度汁をすすり直すと、これがまたたまらんのだ。最後の一滴まで飲み干して、ペロッと完食。これで450円ってのは、もはや犯罪的価格設定だ。
会計を済ませて店を出ると、外には新しい客が入れ替わり立ち替わり。いやぁ、いい店を見つけちまった。これはもう、西湖に来たときの定番だな。うどんのくせに主役級の存在感。うまい、実にうまい昼飯だった。


コメント
コメントを投稿