【移転】ワッフルチキンで連休前のささやかなパーリー

4連休の入り口で、ぼくたちは少しだけ浮かれていた。カミさんが前から気にしていた近所の商店街の惣菜屋。名前も知らないその小さな店が、今日の目的地だった。

惣菜屋、という響きはどこかノスタルジックで、子どもの頃に母親のあとをついて歩いた商店街の匂いを思い出させる。でも、今回買ったのはワッフルチキンとコンフィ。まったくもってノスタルジーとは正反対の、ちょっと気取ったラインナップだ。

ワッフルチキンというのは、アメリカ南部の朝ごはんらしい。甘くてふわふわしたワッフルの上に、しょっぱくてジューシーなフライドチキンが乗っている。

そしてその上から、容赦なくメイプルシロップをかける。甘いのか、しょっぱいのか、どっちなんだ。最初は戸惑う。でも、ひと口食べてみると、そのバランスに妙な説得力がある。ぼくは黙って頷き、カミさんは「これはアリだね」と言った。

ついでに買ったコンフィの盛り合わせも、思っていたよりずっと良かった。脂にじっくり火を通された肉たちはどれも優しい味がして、でも決してぼんやりとはしていない。中でも牡蠣のコンフィには驚いた。潮の香りとコクが、まるで遠くの海辺の町の記憶をそっと呼び起こすようだった。気がつけば、写真を撮るのも忘れていた。

後で調べてみると、その店は以前は蒲田で店舗営業していたらしい。今は川崎に場所を移し、持ち帰り専門にしている。理由は分からないけれど、たぶん彼らなりのやり方で、時代の風を読んだのだろう。持ち帰りが新しい日常になりつつあるこの頃には、それはたぶん正しい選択だったんだと思う。

食後に残ったワッフルの甘さが、ぼくたちの小さな祝祭感をやさしく包みこんでいた。外はまだ明るかった。連休は、まだ始まったばかりだ。

ニコミ ピックアップ弁当 / 川崎新町駅八丁畷駅鶴見市場駅
テイクアウト総合点-

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