【閉店】麺屋ひょっとこ銀座店 で 実山椒柳麺(みざんしょうらーめん)。
銀座の雑踏を抜けて、今日はどうしても果たしておかねばならぬ宿題があった。
その名も「麺屋ひょっとこ銀座店」。交通会館の本店には無いという幻のラーメン――和風実山椒柳麺。
ひょっとこだなんて、まるで昔話に出てくるような名前だが、出てくるのは昔話じゃない。山椒なのだ。しかも粒の。
店に辿り着くと、さっそく券売機を探す。が、見つからん。いや、あるにはあるが、あれれ? 山椒が無い。
柚子のトッピングが標準らしく、こいつに山椒を乗せるのは流石に味の喧嘩になる。うーむ。
そう思ってしばし睨んでいたら、別のページに「実山椒柳麺」の文字。やっぱりあったか! まったく、ひょっとこ、やるじゃないか。
券を渡して席につく。昼の一回転目が終わった頃で、ほとんど待たずに着丼。
くんくん……ふわりと立ち上がる、あの上品でいて芯のある和風出汁の香り。これよこれ。細麺との相性も抜群で、ずずずっと一口。ウマー。
焼豚の上にはきらきらと輝く粒山椒。こいつを崩して、出汁と共に啜ると――おお、ビリリと舌に走る痺れと、深い香りの余韻。これはパンチ力あるぞ。
柚子が奏でるのはお澄ましの静かな昼下がりだが、この山椒は、野に放たれた猟犬のように鋭く、潔い。
気づけば丼は空っぽ。スープまで飲み干しちまった。あっぱれ、ひょっとこ。
これはまた来るな。というか、次は誰かを連れて来たくなるな。
「山椒ってのは、こういう使い方もあるんだぜ」とか言いながら。
麺屋ひょっとこ 銀座店 (ラーメン / 銀座駅、日比谷駅、有楽町駅)
昼総合点★★★☆☆ 3.0

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