箱根 網元おおば でワカサギの天ぷらと蕎麦
芦ノ湖でのキャンプイベントの日は、朝からずっと雨だった。
しとしととか、ざあざあとか、そんなやわらかい言葉じゃ追いつかないくらいの、まるで湖の底から空までをつなぐような、重たい雨だった。
それでも、お腹は空くわけで、キャンプ場に行く前に寄った小さな食堂で、ワカサギの天ぷらを頼んだ。揚げたてで、サクッと音がして、なかはふわふわで、しょっぱい湖の風景みたいな味がした。
うめ~、なんて口に出して言いながら、なんだか泣きそうになった。理由なんてわからない。ただ、そのときのすべてが、ちょっとだけ胸に沁みただけだ。
ボクはラン仲間の中でイベントの主催をよくやってる。だけど、ここ最近、週末になると天気が崩れることが多くて、やっぱり少し凹む。空の機嫌なんてどうにもできないとわかっていても、自分のせいのような気がしてしまう。
夜はバンガローで、雨音をBGMにしながら、みんなでしこたま飲んだ。笑ったり、眠ったり、少しだけ泣いたり。外ではずっと、風と雨が世界を洗っていた。
翌朝は暴風の中、海賊船みたいな観光船で湖を渡った。みんなで髪をぐちゃぐちゃにしながら、笑っていた。
きっと、また行くと思う。晴れた日の芦ノ湖に。
そのときは、もう少しやさしい風が吹いているといいな。


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