パワー付けますかと焼き肉ヴィクトリーでハラミとタン塩三昧
段々暑くなってまいりました。こういう時期になると、気温よりも先にアイスクリームの消費量で季節の進行を知ることになりますが、皆さま、お元気でお過ごしでしょうか。われわれ一家——ボクとカミさんと、そして一羽の無口なインコ——は、おかげさまでいたって健康であります。
さて、暑くなるということは、つまりは体力を消耗する季節に突入するということです。ボクは常々「肉は裏切らない」と考えておりまして、そういうときにはやっぱり焼肉、となるわけです。迷わず電話で予約。電話を切ったあと、カミさんが「今日の服、煙の匂いついてもいいやつにしてね」と言ったのが印象的でした。
向かったのは大井町。まだ開店には間があり、街をうろうろしてみることに。これがまた実に面白い。昭和の名残を濃厚に残したスナックや、小さな洋食屋さん、角を曲がれば家系ラーメンの看板がきらりと光る。実にいい街です。住んでもいいかもしれない。というか、たぶん一度住んでたような気もする。
そうこうしているうちに開店時間。お店の前には、やはり同じく予約したであろう方々が数名。これがまた、静かに「焼肉への覚悟」がにじんでいる感じで、よろしい。ほどなくして店が開き、席に通される。問答無用でビール。メニューなんぞ見なくても、もう頼むものは決まっております。タン塩、ヴィクトリー焼き(名前がいい)、それとキムチ。
最初に届いたキムチをつまみつつ、冷えたビールをグイとやる。うーん、人生とはこの瞬間のためにあるのではないかと、つい思ってしまう。肉も到着。タンは例によって薄く美しく、ヴィクトリー焼きは脂が照明を跳ね返すかのように光を帯びている。これぞ焼肉のビジュアルアート。
焼く。食べる。うまい。ハラミなんてもう、ボクの口の中で夏の音楽祭を開いているかのようであります。
タン塩とハラミの「最強コンビ」をもう一巡したあと、締めをどうしようかとカミさんと協議。上ミノも良いが、ここはひとつ趣向を変えてハツを頼んでみることに。これがまた、見た目からして潔い。「どうだ」と言わんばかりの塊感。焼くと、ぶりぶりとした弾力が歯に伝わり、独特の香りとともに、実に肉肉しい味わい。やるな、ハツ。
そんなこんなで、すっかり満腹になって時計を見れば、まだ夜の八時。焼肉というのは時間の感覚を狂わせる力がある。腹ごなしも兼ねて、大井町の夜を散歩しながら帰ったのでありました。







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