鶴見 沖縄そば なかゆくい で 中身そば と アーサそば

さて、今日は沖縄そばでも食べようじゃないかということで、カミさんと二人、近所の沖縄料理屋へ繰り出した。こう見えても鶴見区の海沿いあたりってのは沖縄出身の人たちが多く暮らしているエリアでして、リトル沖縄なんて呼ばれてたりする。毎年「ウチナーンチュ祭り」なんてのも開かれてて、以前そのお祭りを見たことがある。あれはたしか、暑い日だった。

さて、そんな記憶を頼りに、ふらっと訪れたこの沖縄食堂、店構えは年季が入っていて、のれんをくぐるとふんわり鰹と豚の匂いが鼻をくすぐる。初めて入るのに、なんだか懐かしい。カウンターの奥には焼酎や泡盛のボトルがズラリと並び、夜はきっと常連客がカチャーシー(沖縄の踊り)で盛り上がるんだろうなと勝手に妄想。

メニューは驚くほどシンプル。迷う余地なし。ボクは中身そば、カミさんはアーサーそばを即決。中身ってのは豚の内臓、モツである。アーサーとは海藻のアオサ。ちなみに内臓が苦手な人には絶対に勧められないが、ボクは好きだ。いかにも“滋味”って感じがするのがいい。

しばし待つこと数分、湯気を立てながらそばが着丼。どんぶりは琉球ブルーの縁取りで、見るからに沖縄。いいじゃないの、いいじゃないの、と心の中で三回唱えながら、両手で器を抱える。

ズズッと一口。ああ……うまい。うまいぞこれは。スープは豚骨と鰹の合わせ出汁で、しっかりコクがあるのにまったくくどくない。中身は臭みなんて微塵もなく、ふわっと柔らかくて、噛むたびに旨味がじわじわと染み出してくる。麺は太めの平麺で、どこかうどんのような、しかしコシの違う不思議な歯ざわり。これは癖になる。

カミさんのアーサーそばも味見させてもらう。磯の香りがぶわっと立ちのぼり、こっちはまた全然違う風情。海風のように優しい味だ。二人で顔を見合わせて、うまいねぇ、と小声で頷く。

途中、卓上のコーレーグース(島唐辛子を泡盛に漬けたもの)をちょいっと垂らしてみると、これがまたピリッと効いて味が締まる。うむ、これは戦える。

最後の一口までじっくり楽しんで、器を空にすると、なんとも言えない満足感に包まれた。腹は膨れたし、心も満たされた。ふと流れていた沖縄民謡の三線の音が、いつもよりやさしく聞こえる。

会計を済ませ、店を出ると夏の日差しがまだ眩しかった。次は夜に来て、泡盛とラフテーと、カチャーシーにも挑戦してみようか。ちょっとだけそう思った午後の沖縄そばだった。

なかゆくい沖縄料理 / 鶴見市場駅川崎新町駅
昼総合点★★☆☆☆ 2.5

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